「集合住宅版I.SEM®」の導入で太陽光発電の余剰電力を38%削減AIによる電力予測でヒートポンプ給湯器を最適制御

2026年3月18日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、集合住宅における太陽光発電の自家消費率向上を目的としてヒートポンプ給湯器(以降、HP給湯器と略す)の稼働を最適化する「集合住宅版I.SEM®」を、次世代型健康住宅「代々木参宮橋テラス」(東京都渋谷区、2023年2月竣工)に導入しました。2023年4月~2024年3月の1年間にわたるデータを収集、分析した結果、余剰電力を38%削減したことを確認しました。
当社は、今後、集合住宅・ホテルなどの建築計画において、再生可能エネルギーの自家消費率向上や多様な電源リソースを最大限活用し、脱炭素社会に向けた社会やユーザーの課題解決に貢献するソリューションの開発を推進していきます。

  • I.Smart Energy Management の略称。「I」は、Interconnection, Interoperability, Interface, Interaction などの意味を示し、クラウドシステムが様々なハードウェア、ソフトウェアを繋いで連携するコンセプトを表現。
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背景

脱炭素ニーズの高まりにより、太陽光発電設備を設置する建物が増加しています。また、HP給湯器はエネルギー効率が高く、CO2排出量を削減できることから、集合住宅やホテルなどでの採用が進んでいます。
しかし、発電と消費の時間的なズレが課題となっています。特に集合住宅では、住民の帰宅・在宅時間(夕方から夜間、朝方)に電力需要が集中する一方、昼間は太陽光で電力が供給されても、消費量が少ないため、余剰電力が発生します。地域全体でも余剰電力が発生する時間帯が生じており、再生可能エネルギーの有効活用が重要な課題となっています。

集合住宅版 I.SEM の概要

HP給湯器は、空気中の熱を吸収して効率よくお湯を沸かします。通常、夜間に水を加熱してお湯をタンクに貯蔵し、昼間にそのお湯を使用する運用になっています。しかし集合住宅で採用した場合、多くの住戸が夜間にお湯を沸かすため、夜間の電力ピークが発生します。一方、昼間は太陽光発電により電力が供給されますが、消費量が少ないため、発電した電力が余剰電力となってしまいます。

データセンター設計支援ツールの図


「集合住宅版I.SEM」は、HP給湯器を制御対象とし、発電量に合わせてその運転を最適化することで、余剰電力を最大限に活用しながら、ピーク電力を抑制します。運転制御の際には、AIにより翌日の太陽光発電量と建物消費電力を高精度に予測します。また、リアルタイムで電力データを監視し、予測からの乖離に対応することで、余剰電力の最大活用と、ピーク電力抑制を実現します。

余剰電力の最大活用とピーク電力抑制の図

検証結果

検証期間:2023年4月~2024年3月
実施場所:代々木参宮橋テラス

用途 集合住宅(86戸)
階数・構造 4階建・鉄筋コンクリート造
延床面積 6,906m2
工期 2021年11月~2023年2月
  1. 実施結果:
  2. 余剰電力:38%削減
    (HP給湯器を、従来の夜間稼働ではなく、集合住宅版I.SEMで制御した場合の効果)
  3. ピーク電力:22%削減
    (HP給湯器を、従来の夜間稼働ではなく、集合住宅版I.SEMで制御した場合の効果)
  4. HP給湯器消費電力:13%削減
    (集合住宅版I.SEMの制御により、HP給湯器が従来の夜間稼働から外気温度が高い日中に稼働することによる効果)
検証期間1年間における余剰電力量の削減率
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