技能工の手書き図をAIで読み解くボード材自動加工システムを開発~生成AIとクラウドを統合し、ボード加工の作図・共有・加工連携をデジタル化~

2026年6月30日
株式会社竹中工務店
株式会社爽美

竹中工務店(社長:丁野成人)と爽美(本社:大阪市北区、社長:小野田拓也)は共同で、建築内装仕上げ材(ボード材等)の加工アシスト機「i-Bow2」※1向けに、生成AI技術およびクラウドを統合した施工支援システムを開発しました。
本システムは、クラウド基盤「i-Bow Cloud(アイボー クラウド)」上に、加工用CAD図自動生成アプリ「AI i-Bow(エーアイ アイボー)」を実装したもので、ボード加工に必要な一連の作業をデジタル化する新技術です。
技能工がボード材加工のために描いた手書き図を撮影するだけで、画像データがクラウド上に取り込まれ、AIが加工用CADデータへ自動変換します。生成されたCADデータは独自開発のCAM技術※2を介して「i-Bow2」の加工動作へさらに変換され、ボード材が加工されます。
これにより、従来は技能工が担っていたCAD作図による加工指示が不要となり、操作負荷の軽減とさらなる生産性向上・省人化が実現しました。

  • ※1ボード材を自動切断する加工ロボット。株式会社竹中工務店、株式会社爽美、他3社により特許取得済み
  • ※2Computer Aided Manufacturing ここでは、CADデータに基づき、機体を動かし加工を実現する技術。
新ワークフロー:手書き図起点のAI連携、現場加工の新形態
新ワークフロー:手書き図起点のAI連携、現場加工の新形態

開発の背景

竹中工務店と爽美は、2022年に建築仕上げ材(ボード材)加工アシスト機「i-Bow2」を開発し、専用アプリ「YUBI CAD」※3により、スマートフォンやタブレットから直感的に加工データを作成できる仕組みの実現に取り組んでまいりました。
一方で、ボード加工データの作成には、技能工がタブレット端末上で専用CAD操作を行う必要があり、とりわけ熟練技能工や、鉄骨造建物に求められる複雑な形状の作図においては、操作習熟度や作業負荷が普及上の課題となっていました。
そこで今回、技能工が従来から用いてきた「手書き図」を起点に、AIが加工用CADデータを自動生成する新たなワークフローを開発しました。これにより、CAD操作の負担を軽減することで現場での生産性を高めました。

  • ※3株式会社竹中工務店、株式会社爽美により共同開発された、指で直感的に作図入力するCADアプリ

本システムの特徴

1.手書き図を撮影するだけでAIが加工用CADデータを自動生成
本システムでは、技能工が描いた手書き図をスマートフォン等で撮影すると、AIがその画像を解析し、加工用CADデータを自動生成します。これにより、CAD操作に不慣れな作業者でも容易に加工データを作成することができます。

2.クラウド上で画像・CADデータを一元管理
撮影した手書き図画像やAI生成データは「i-Bow Cloud」上で集約管理され、関係者間で即時に共有できます。情報共有から加工までをシームレスに連携できるため、現場生産効率の最適化を支える基盤としての活用が期待されます。

3.従来の「YUBI CAD」と併用可能
従来通り、専用CADアプリ「YUBI CAD」による手動作図も可能です。さらに、AIが生成したCADデータを編集し、新たな加工データを作成することもできます。今回、同アプリについては視認性や操作性の向上を目的にUI/UXの改善も行いました。

4.技能工の表現慣習を踏まえたAI設計
本AI技術は、技能工の間で共有されてきた特殊な手書き図表現をベースに解析するよう設計されています。従来の慣習や表現の意味合いを踏まえつつ、一部の記号や寸法値の記載方法を統一することで、より高精度な解析とデータ生成を実現しました。

現場適用

本システムは、2025年9月に株式会社オクジュー(社長:熊本辰視)により、関東圏内作業所で初めて適用されました。関東圏で導入がすでに進んでおり、本システムの適用範囲の拡大と内装工事におけるDX推進の加速が期待されます。

今後の展開

本機のレンタルについては、爽美により、2026年9月から、近畿圏で順次開始予定です。また2027年6月からは、大規模現場内に数十台規模のi-Bowシステムで構成された加工ステーションの展開も計画しています。竹中工務店と爽美は現場課題の解決に必要な技術領域を横断的に取り込みながら、建設現場の生産性向上と省人化に貢献してまいります。
今後は、現場における情報から人員までを最適化運用する「現場共有クラウド型施工プラットフォーム」へと発展させていきます。そして、必要な技術領域を自在に連結させていくことで、効率化・品質向上を実現する施工の基盤へと発展させていきます。

i-Bowを基盤に様々な技術領域を連結
i-Bowを基盤に様々な技術領域を連結