手洗いに適した温水を供給する、低温給湯システム「ぬく水®」を開発~給湯エネルギーを40%削減~

2026年7月23日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:丁野成人)は、病院の給湯エネルギーを削減する低温給湯システム「ぬく水®」を開発し、今年2月に竣工した小田原市立総合医療センター(神奈川県小田原市)に導入しました。本システムは、手洗いに適した25~30℃の温水を専用配管で供給することで、給湯エネルギーを削減する技術です。

従来の給湯システムは、水を60℃に昇温し、貯湯槽から厨房、洗浄、シャワー、手洗器など、病院内の給水・給湯を使用するすべての場所に高温給湯管を循環して供給する中央給湯方式です。病院は、平面的に広いエリアに多数の手洗い場が分散配置されているため、配管からの放熱ロスも大きいことが課題でした。

低温給湯システム「ぬく水」は、手洗いに高温給湯を必要としないことに着目し、手洗い用の給湯を中央給湯から切り離し、25~30℃の温水を供給するものです。60℃まで昇温する必要がないため、空調からの低温廃熱を有効活用でき、配管からの放熱ロスも大幅に削減できます。また、中央給湯方式では、手洗いへの供給に給湯配管と給水配管がそれぞれ必要でしたが、本システムでは25~30℃の温水を供給する「ぬく水配管」のみで済むため、中央給湯方式と比べて配管数量を約20%削減できます。
小田原市立総合医療センターと同規模病院を想定して試算した結果、本システムの採用により、病院全体を従来の中央給湯方式で構成した場合と比べ、給湯エネルギーを約40%削減できることを確認しました。

開発の背景

脱炭素社会の構築に向けてZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化が進むなか、病院は、感染対策、清浄度確保、非常時の医療継続、24時間365日運用、様々な医療機器への電力供給や各種ユーティリティへの対応等、他の建物用途に比べエネルギー消費量が多いのが現状です。
空調や照明における省エネ化が進む一方で、病院の用途別エネルギーのうち給湯・蒸気エネルギー18%を占めており、病院のZEB化における大きな課題となっています。

  • 出典:関東経済産業局「中小企業の支援担当者向け省エネ導入ガイドブック」

システムの概要

本システムは下記の要素から構成されます。

・ぬく水配管
給水や給湯配管とは別系統のぬく水配管を設け、手洗いに夏期の水道水と同程度の25~30℃程度で供給します。中央給湯方式で用いられる循環式ではなく、循環配管を用いない非循環方式で供給します。

・ぬく水水槽
中央給湯方式の貯湯槽とは別系統の水槽に25~30℃程度の温水を貯留し、建物内の手洗いに供給します。

・残留塩素管理/制御装置
ぬく水水槽に塩素注入装置と循環式の残留塩素管理装置を設置し、残留塩素濃度を維持します。

・換水機能
夜間や週末など長時間使用しない場合にはスケジュールによる自動換水機能を利用することで、水温と残留塩素濃度を維持します。

・空調からの低温廃熱の利用
低温給湯システム「ぬく水」は60℃への昇温が不要のため、空調からの低温廃熱を有効活用します。

今後の展開

当社は今後、病院の新築計画において、本システムの導入を提案しながら、普及展開を進めていきます。あわせて、手洗い場が多く、分散配置される他の建物用途への適用可能性についても検討してまいります。