新しいデータセンターが
いま求められています
クラウドサービスやAIの普及を支えるデータセンターは、サーバーを収容するだけの建物ではありません。24時間365日の安定稼働を前提に、災害リスクを踏まえた立地、電源・空調の冗長化、サーバー排熱への対応、将来の設備更新や増設までを一体で計画する必要があります。
本記事では、データセンター建築で重視される基本的な考え方と、竹中工務店が「Reliability(信頼性)」「Agility(柔軟性)」の両面から提供する技術を紹介します。
データセンター建築とは?一般的な建物との違い
データセンターは、IT機器を安定して稼働させることを最優先に、建築と電気・空調などの設備を一体で計画する施設です。一般的な建物と比べ、停止を避けるための冗長性や高い冷却能力、将来の設備更新まで見越した計画が重要になります。
24時間365日の安定稼働を前提に計画する
データセンターでは、電源や空調などの設備が停止すると、サーバーの停止や通信障害につながる可能性があります。そのため、24時間365日の継続運用を前提として、停電や設備故障、地震などのさまざまなリスクを想定した建物・設備計画が必要です。
例えば、電源や空調設備には予備となる機器や系統を設け、一部でトラブルが発生しても運用を継続できるようにします。さらに、機器の点検や更新を行う際にもサービスを止めにくい構成とするなど、平常時のメンテナンスまで含めて「止めない」仕組みをつくることが重要です。
建築・電源・空調を一体で検討する
データセンターの計画では、データホールの面積や階高といった建築条件だけを先に決めることはできません。受変電設備や非常用発電設備、無停電電源装置(UPS)、熱源・空調設備などに必要なスペースや容量も踏まえ、建築と設備を同時に検討する必要があります。
特に、サーバーは稼働時に大量の熱を発するため、機器の配置や電源密度が変われば、必要な冷却能力や空気の流れも変化します。必要なIT容量を確保しながら効率よく冷却できるよう、計画の早い段階から建築・電源・空調の条件を整合させることが、安定稼働と省エネルギーの両立につながります。
Reliability(信頼性)
BCPの視点や各種インフラなどの観点からの立地選定
データセンターの安定稼働は、建物を建てる場所の選定から始まります。竹中工務店ではGISデータを活用し、BCP上のリスクに加えて、必要な電力供給網や交通アクセスなども考慮しながら候補地を評価します。
冗長化設計
冗長化とは、一部の機器や系統に不具合が起きても運用を続けられるよう、予備となる機器や経路を持たせる考え方です。電源・空調・監視設備などの適切なポイントを冗長化することで、故障時だけでなくメンテナンス時にも安定稼働を支えます。
-
非常用発電設備 -
クーリングタワー
CFD(Computational Fluid Dynamics)による気流シミュレーション
サーバーは多くの熱を発するため、室内の気流や温度分布を適切に設計する必要があります。竹中工務店ではCFDによる気流シミュレーションを用い、さまざまな条件を想定して空気の流れを事前に検証し、冷却性能と省エネルギー性を両立しやすいサーバー室計画につなげています。
豊富な免震技術
地震対策では、建物全体を免震する方法だけでなく、サーバー室の床を対象とする床免震や、ラック下部に免震装置を設けるラック免震にも対応しています。既存ビルの一部をデータセンターへ改修する場合など、建物条件に応じて対策を選べることも特徴です。
Agility(柔軟性)
データセンターでは、完成時の性能だけでなく、稼働後の需要増加やIT機器の変化へ柔軟に対応できることも重要です。竹中工務店は「Agility(柔軟性)」の考え方から、設備を段階的に追加・更新しやすい建築計画を行います。
オンデマンドビジネスに対応した段階実装
需要の増加に合わせてサーバー室や設備を段階的に実装できるよう、あらかじめ増設を見越して計画します。すでに稼働しているサーバー室へ影響を与えにくい構成とすることで、初期投資を抑えながら必要なタイミングで機能を拡張しやすくなります。
直流給電対応
給電方式やIT機器は将来変化する可能性があります。竹中工務店では、直流給電などの先端技術を将来導入することも想定し、機器更新や方式変更に対応できる余地を持たせたデータセンター計画を行っています。
クラウド時代のデータセンター
データセンターの最適な形は、立地や事業計画によって異なります。竹中工務店では、都市部で限られた空間を有効活用する計画と、需要に合わせて棟を増やせる郊外型の計画など、条件に応じたモデルを提案しています。
都心型2層フロアデータセンター
都心型では、大スパン2層フロア構造とビルトイン空調システムを採用し、サーバー室の階高を変えずに歩行可能な二重床を確保します。サーバー室面積を確保しながら、空調効率やメンテナンス性の向上も図る考え方です。
郊外型クラウドデータセンター
郊外型では、エネルギー管理を担う中央棟と、増築可能なサーバー棟を組み合わせます。サーバー室単位で段階的に増設できるため初期投資を抑えやすく、設備や共用施設を共有しながら、将来の高負荷サーバーラックにも対応できる計画です。
データセンター建築を企画・設計段階から支援
データセンターは、立地やIT容量、建物規模、電源・空調設備など複数の条件が相互に関係するため、事業化の初期段階から全体を整理することが重要です。竹中工務店では、これまでの設計・施工知見を活用し、初期検討から計画具体化までを支援しています。
データセンター専用の設計支援ツールで初期検討を効率化
当社は2026年3月、データセンターの初期計画を効率化する専用の設計支援ツールを開発しました。立地条件や必要な設備などの基本情報を入力することで、受変電設備や発電機、無停電電源装置(UPS)、空調設備などの仕様・容量を検討し、建物ボリュームや設備配置を反映した3D画像を作成できます。
これまで担当者が個別に条件を整理しながら進めていた検討プロセスを効率化することで、従来は数カ月を要していた初期検討を約2~3週間で行えるようになりました。事業化の早い段階から建物と設備の全体像を可視化し、計画条件の比較や調整を進めやすくなります。
計画条件に合わせて最適なデータセンター建築を検討する
データセンターに求められる性能や規模は、事業計画や立地条件、必要なIT容量によって異なります。そのため、単に高性能な設備を導入するのではなく、建築計画と電源・空調設備、冗長化や免震対策などを総合的に検討することが重要です。
当社では、現在必要な性能だけでなく、将来のサーバー増設や設備更新も見据えて計画します。安定稼働を支える「Reliability(信頼性)」と、事業や技術の変化へ対応する「Agility(柔軟性)」の両面から、お客様の条件に適したデータセンターづくりを支援します。
関連ソリューション
-
GISデータを活用し都市の潜在的な可能性を見つけ出す-GISCOVERY®- -
地震時に建物の安全だけでなく、居住者の安心も確保
-免震構造- -
建物内にクリーンルーム等の高機能施設をスピード構築
-BiBoT®シリーズ-
関連リリース
2026.03.05 業界初(※)、データセンターに特化した設計支援ツールを開発 お客様への迅速なプラン提案が可能に
- 当社調べ 2026年














