資源循環

Ⅰ.サーキュラーエコノミー

いままでの経済は、モノをつくり、使い、最終的に廃棄するリニアエコノミー(一方通行型モデル)と呼ばれるものが中心です。 そして環境への取組みが社会的に必要になり、廃棄物とされていたものを資源として再活用してモノをつくり・利用することを3 R活動として進めてきました。
これからは、廃棄物の排出を前提としているリニアエコノミーと異なり、最初からできるだけ少ない資源でモノをつくり、その役割が終わっても廃棄が出ない設計やデザインが実装されているサーキュラーエコノミーの実践が求めらます。 竹中工務店では、このサーキュラーエコノミーの考えにもとづき、新しい社会と建築のあり方を追求していきます。

リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ
サーキュラーエコノミーとは

1.これまでの当社の取組み

これまでの当社の取組み

  1. 作業所から発生する産業廃棄物のリサイクル率(2024年) 97.6%
  2. 3R功労者等表彰での受賞件数 国土交通(建設)大臣賞:20件、3R協議会会長賞:73件

サーキュラーエコノミーを実現するためには新たな技術開発、サープライチェーンの変革などが必要です。竹中工務店は2030年に廃棄物10%削減、2050年に100%削減を目標に活動を推進していきます。

2.トピックス:サーキュラーエコノミー実現への取組みを紹介する「竹中工務店 サーキュラー支店」展を開催

竹中工務店は、2025年9月27日(土)から30日(火)の4日間、横浜市中区の「旧第一銀行横浜支店」において、サーキュラーエコノミー実現への取組みを紹介する「竹中工務店 サーキュラー支店」展を開催いたしました。
本展示会は、建設業界における資源循環の重要性を広く一般の方々にご理解いただくことを目的として企画されました。会場となった「旧第一銀行横浜支店」は、横浜市認定の歴史的建造物であり、10月4日に文化交流拠点「BankPark YOKOHAMA」としてグランドオープンする直前のタイミングでの開催となりました。
展示内容は、当社が提唱する「サーキュラーデザインビルド®」のコンセプトに基づく循環型建築プロジェクトの事例紹介、建材メーカー各社によるサーキュラー建材の展示、そして、新たな試みとして実施した廃棄物アップサイクルの共創アイデアコンペの成果発表などを行いました。この共創コンペでは、様々な企業様から提供いただいた多様な廃棄物を素材として、社内51チームがエントリーし、43の提案の中から選ばれた10作品を展示いたしました。
会期中は、サーキュラー分野の専門家や当社プロジェクト担当者によるトークセッション、木工や廃棄物アートをテーマにしたワークショップも開催し、小さなお子様から大人まで幅広い層の地域住民や業界関係者の皆様にご参加いただき、大変な賑わいを見せました。
今回の展示会を通じて、建設業界が直面する廃棄物問題の現状と、それを解決するための創造的なアプローチについて多くの方々にご理解いただくことができました。今後も、より多くのステークホルダーの皆様と連携し、環境にポジティブな建築とまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。

サーキュラー支店展開催状況

Ⅱ.竹中工務店が提唱するサーキュラーデザインビルド®

「サーキュラーデザインビルド」が目指す「つくる・つかう・つなぐ」が生み出す新しい循環のかたち

サーキュラーデザインビルドとは、大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、設計・施工・解体はもちろん、竣工後の運用や建材の活用に至るまで建築におけるすべてのプロセスで資源の循環を促進する新しい建築・建設ソリューションです。
竹中工務店が持つ専門知識や技術、デザイン力、そして多くの人や企業との連携によって、一度生まれた建材を、次の時代や別の建築へと活用していきます。

サーキュラーデザインビルド

【つくる】資源消費の最小化と廃棄物を生み出さない設計・施工・事業活動

  1. 解体・分解・再利用することを前提とした設計・施工
  2. リユース・リサイクル可能な建材の選定
  3. 建材を生かす解体プロセス・技術の開発

【つかう】建築物と建材などの資源を使い続ける価値と手法を社会に提案

  1. 既存建築の新たな価値・活用方法の創出
  2. 長寿命化建材の開発
  3. リユース・リサイクル・アップサイクルできる素材の開発

【つなぐ】産業間の資源をつなぎ、森林等の資源をまちづくりにつなぐ

  1. まちの中での建材循環システムの構築
  2. 森林グランドサイクルを加速させる、山の商流の整備

Ⅲ.【つくる】資源消費の最小化と廃棄物を生み出さない設計・施工・事業活動

1.サーキュラーデザインビルドの実践:大阪避雷針工業神戸営業所

つなぐ減築、ひらく増築による「時間」がつくる価値へ
大阪避雷針工業 神戸営業所

建物用途:事務所・倉庫
延床面積:471㎡ 竣工年:2024年

35年の時を重ねた建物を、構造体と外装を活かして新たなかたちへ。まるごと壊す、スクラップアンドビルドの発想を超えた価値の創出を目指した建築に挑戦しました。日本では、人口が減ってきている今も、ほんの数十年で建物が解体されてしまうのが当たり前になっています。このプロジェクトでは、新しさではなく、時を重ねてこそ生まれる風合いや佇まいに価値を見出し、これからさらに美しく育っていく建築を目指しました。

スラブを減築し、軽くなった分で基礎をつくらず増築する
内観の写真

2.サーキュラー・低炭素建材検索システム

【つかう】建築物と建材などの資源を使い続ける価値と手法を社会に提案

日本には、リサイクル材料や他産業の廃棄物を原料として建材を作っているメーカーや、製作した建材が廃棄された後、新たな素材に生まれ変わる取組みをしているメーカーが多くあります。一方で、それらの建材に関するサーキュラーな情報は散逸しており、メーカーを横断してカタログ的に閲覧できるプラットフォームはありませんでした。当社は建材選定のプラットフォームを運営しているMaterial Bank®と協業し、サーキュラー及び低炭素の観点から建材を検索できるシステムを作りました。2026年12月以降は当社社員に限らず、広く一般のユーザーが無料で使える検索システムとなります。

マテリアルバンク

3.ディテール246号「サーキュラーデザイン」

【つくる】 サーキュラー建築のハウツー雑誌

「サーキュラー」という言葉は概念的に多く用いられるようになってきましたが、実際の設計手順や納まりを紹介した資料はあまり世の中にありませんでした。当社は雑誌「ディテール」を発刊している彰国社に企画を持ち込み、 「サーキュラーデザイン」というタイトルの特集を2025年9月に彰国社から出版しました。サーキュラーの取組みには社内外を含めた共創が不可欠です。従って本特集では、他社ゼネコンや設計事務所で最先端のサーキュラーの活動をしている設計者や研究者を編集協力者に招き、多くのディスカッションを重ねたうえでこの特集を完成させました。

ディテール

本雑誌はWhy-「なぜサーキュラーなのか」、How-「どのようにサーキュラーを設計するのか」、What-「実際のサーキュラー建築の納まりはどのようなものか」といった焦点から構成されており、サーキュラーデザインについてのハウツー雑誌となっています。

ディテール

4.廃棄物を生み出さないようにつくる:建設資材の99%を再利用・再資源化

建設後半年で解体される仮設建物「国際メディアセンター※」に対して、建物解体後に発生する建材を徹底的にリユース、リサイクルできるように設計施工しました。その結果、使用した建材の99%をリユース・リサイクルしました。

建材の99%をリユース・リサイクル
廃棄物を生み出さないようにつくる:建設資材の99%を再利用・再資源化

5.廃棄物を生み出さないようにつくる:廃棄物=0(ゼロ・エミッション)

当社東関東支店のZEB化改修工事にて、発生する廃棄物を少しでも減らすため、改修予定部分で解体せずに使える部分が無いか見直しました。これにより、既存のダクトや冷媒配管、タイルカーペット、外部フィン等を再利用(リユース)しました。また、ZEB化に伴う蓄電システムには、電気自動車EVのバッテリーを再利用しました。さらに廃棄物となるガラス等の撤去材はリスト化してリサイクル処理を検討し、100%リサイクルしました。
この他にも、建設時のCO2排出量をゼロに、運用時のCO2排出量をゼロにし、エミッションを徹底的にゼロにしました。

廃棄物=0への取り組み
廃棄物=0への取り組み

6.廃棄物を生み出さないようにつくる:リサイクル率の推移

当社の作業所では、工事で発生した廃材を可能な限りリサイクルできるように、各地の中間処理会社と連携して、細かな分別に取り組んでいます。
その結果、工事の増加に伴い廃材が多く発生しても、リサイクル率は常に90%以上を保っています。

総排出量(t)とリサイクル率(%)の推移
総排出量(t)とリサイクル率(%)の推移

Ⅳ.【つかう】建築・建材を使い続ける

1.建材を使い続ける:古い建材を新たに使う

歴史的建築物などの文化的に価値のある建物では、既存のタイルを廃棄せずに再利用することが、歴史的なデザイン価値を継承するうえで大きな意味を持ちます。建替えや改修時にタイルをそのまま廃棄するのではなく、古く、味わいのある建物として再びよみがえらせる技術「モルトール®」を開発しました。この技術を活用することにより雰囲気を変えることなくリニューアルしてお客さまの想いのある建物を長く使って頂くことを実現しています。

タイル再利用技術「モルトール®」
タイル再利用技術「モルトール®」

2.資源を使い続ける:現場での適切な分別と油化技術による水平リサイクルシステム

廃プラ油化技術
ケミカルリサイクル・ジャパン株式会社と竹中工務店の共同で、建設系使用済みプラスチックの再資源化に取り組んでいます。建設現場で分別されたプラスチックから、油化ケミカルリサイクル技術を用いて油を製造し、プラスチック床材などの原料として再資源化すべく実証実験を続けています。

現場での適切な分別と油化技術によるアップサイクルシステム

3.資源を使い続ける:アルミサッシの水平リサイクル

動脈・静脈産業間の連携によるアルミ建材のリサイクルシステム構築を目指し、解体アルミの水平リサイクルの実証事業などを推進しています。

アルミサッシの水平リサイクル

4.建築を使い続ける:BELCA賞

公益社団法人 ロングライフビル推進協会(BELCA) が主催するBELCA賞は、長期にわたる適切な維持保全と、優れた改修を実施した既存の建築物を対象とし、建物のロングライフ化への寄与に対する表彰制度です。ロングライフ部門とベストリフォーム部門の2部門からなり、賞の選考は、学識経験者と実務に精通した委員から構成される「BELCA賞選考委員会」により現地審査・選考が行われ、表彰建築物が決定されます。1991年の第1回開催以来、当社が関与してきた建物の品質、お客様と一体となった維持管理が高く評価され、受賞数累計、設計施工受賞数累計とも総合建設業としてトップの評価実績を頂いています。

建築を使い続ける:BELCA賞
山荘 京大和
山荘 京大和
髙島屋東別館
髙島屋東別館

5.建築を使い続ける:歴史的な建築物の活用

当社は、歴史的に価値のある建築物に対し、これまでの設計・施工のビジネスモデルだけではなく、自ら事業者として活用を進めております。都市部・地方のそれぞれの地域に対しまちの文脈を読み取り事業を形にしています。

旧山口萬吉邸(kudan house)

旧山口萬吉邸(kudan house)

1927年に建てられたスパニッシュ様式の邸宅をマスターリースし、既存建築の魅力を活かして、会員制のビジネスイノベーション拠点に用途転換した保存活用プロジェクトです。2018年に国の有形文化財に登録されました。

堀ビル(goodoffice 新橋)

堀ビル(goodoffice 新橋)
既存タイルを保存活用した外観

1932年創建の登録有形文化財を当社がマスターリースし、既存の装飾を残しながら耐震補強等を行い、シェアオフィスに改修しました。
事業・デザイン・技術で建物の魅力を活かす再生事例です。

BYAKU Narai

外観
外観
内部客室
内部客室

塩尻市奈良井宿にある築200年のかつての造り酒屋を、宿・レストラン・温浴施設、地域文化発信のためのギャラリー、酒蔵を併設する小規模複合施設へ再生しました。地産の木材や地域に受け継がれてきた漆などの工芸を各所に使用し、外観や構造体の保存規制の中で耐震性能や温熱環境、防災、遮音機能の向上を図りました。
2020年に当社は塩尻市と持続可能な社会づくりや地域課題の解決に寄与・貢献することを目的とした、連携協定を締結しています。

Ⅴ.【つなぐ】産業間の資源をつなぎ、森林等の資源をまちづくりにつなぐ

1.森林資源の循環:森林グランドサイクル®

当社は「森林グランドサイクル®」を掲げ、中高層木造の技術開発と実践を進めてきました。この取組みは木造建築を都市部に増やすことだけではなく、木材を活用することで山林と都市の新しい経済循環を生み出し、社会課題となっている地方の山林の維持管理の問題を解決することを目指しています。
2022年には農林水産省と「建築物木材利用促進協定」を締結し、中高層木造建築物等での国産木材の利用を促進しています。

森林資源の循環:森林グランドサイクル

2.まちの資源の循環:メタファーム®

食品工場や飲食店などから多く排出される食物残渣をメタン発酵によりエネルギーに変える技術を開発しています。生ごみを外部搬出することなく建物内で分解し、発生したメタンガスを使うことで、エネルギーを地産地消する循環経済を実現しています。

メタファーム®の仕組み
メタファーム®